先の見えない不安から見えるもの

 新型コロナウィルス感染拡大防止対策として3月3日から休校期間に入り、約3週間が過ぎました。生徒のみなさんは家庭内での生活を余儀なくされ、しんどさの中で「当たり前の日常のありがたさ」を痛感しているのではないかと思います。休校した頃には自分からは遠いところのことのように感じていましたが、全世界的に感染が進み、遂に岡山県においても先日感染者が出たと発表されたばかりです。また、首都圏では濃厚接触者ではない感染者の数が増えているとの報道もあり、これから先もしばらくは十分な注意と対策が必要な状況が続きそうです。
 医療関係の方はこの新しいウィルスに対し様々な対応をしてくださっていますが、まだ分からないことが多いものであることには変わりありません。いつ終息するのか、治療薬はできるのか、様々な自粛行動はいつまで続くのか等、考えても分からない中、私たち一人ひとりが判断し、行動することが求められています。
 先の見えないことには不安がつきまといます。ですが、社会全体に目を向けると、生産年齢人口の減少や社会構造や雇用環境の急激で大きな変化等の様々な課題があり、生徒のみなさんが大人になる頃にはそれにに対応するための「society5.0の時代」が到来すると言われています。学校ではそのような変化の激しい予測困難な時代を生き抜くための力を育成することが求められ、令和3年度から施行される学習指導要領にはその方向性が示されています。(小学校は来年度から実施されます。)
 学習指導要領は約10年に一度の頻度で改訂され、その先の10年間を見通した時代に即した内容が盛り込まれます。学校では、その方向性をとらえこれまで行ってきた教育活動の見直しを図っているところです。
 教育には「不易」と「流行」の両側面があります。上記に示したような時代や状況に即した「流行」を取り入れなければ停滞してしまいます。また、「流行」だけに流されると、これまで培ってきた日本の教育の優れた面を失うことにもなりかねません。目の前の子どもたち一人ひとりを大切にし、必要な指導や支援を行うことは昔から変わらないことです。私たち教職員も「不易」を大切にしながら、「流行」について学び必要なことは変化を恐れず取り組んでいきたいと思います。
 また、今年度、県内他市で授業時数不足の状況があるということが問題視されました。標準とされる時数は学習指導要領で示されています。本校でもこの標準の時数がきちんと確保できるように工夫をして計画をしています。年間の予定等が大きく変わる部分がありますが、保護者の皆様には流れを含めご理解いただき、ご協力をお願いいたします。

 生徒のみなさん、コロナウィルス対策で総まとめである3月の学習ができませんでした。ですが、来年度に向けて「~をがんばりたい」「頼れる先輩になる」等、しっかりと気持ちを高めてくれていると思います。4月からよいスタートをきれるよう、目的をもって充実した春休みを過ごしてください。

臨時休校にあたり


 3月の声を聞き、いよいよまとめの時期に……と思っていた矢先に新型コロナウィルス感染拡大防止策として、休校を余儀なくされました。私たち教職員も突然のことに戸惑っていますが、生徒たちはもっと戸惑いが大きいと思うと「よい休校期間にしなくては」と改めて感じています。
 ネットでは様々な情報が飛び交い、生活にも少しずつ影響が出てきています。非常事態と言える現状ですから、混乱があるのもやむを得ないことかもしれません。しかし、こういう時こそ落ち着いて正しい知識を得、何が必要かを考えることを大切にしたいと思います。先日も学活の時間に「感染症防止のために自分達ができることは何か」を考えました。学校生活でも家庭生活でも基本は同じだと思いますので、生徒の皆さんにはウィルスに負けない身体づくり(睡眠・食事・運動)、感染防止のための行動(手洗い・うがい・人混みに行かない等)を心がけてほしいと思います。ご家庭においても話題にしていただき、生徒自身が自分で考え行動できるようにご支援をお願いします。
 休校中は本来学校で学習すべき期間でもあるので、佐伯中学校では課題を複数回に分けて出すことにしました。休校期間中に家庭訪問を実施し、課題の回収と配付、生活の様子等の聞き取りをさせていただきます。保護者の方の留守中におうかがいすることもありますが、ご了承ください。(詳細は、本日生徒に渡している「臨時休校中の計画表」に示してあります。)
 また、3年生は受検を控え不安も大きいかと思います。基本的に教職員は勤務していますので、必要に応じて質問等で個別に登校することにも対応可能です。受検までの数日間ではありますが、うまく不安感を乗り越えて力を出し切ってほしいと願っています。
 来年度の行事予定等もお知らせすべき時期ではありますが、年度当初の行事等の見通しがもてない状態です。近日中には暫定的なものとはなりますが、メール配信等でお知らせさせていただきます。今しばらくお待ちください。
                            

◆先日のPTAの会ではお忙しい中、ありがとうございました。新型コロナウィルス
 対応で、PTA役員会の日程変更も既にお願いしたところですが、今後の学校行事
 の変更等の可能性もあります。ご無理をお願いすることもあろうかと思いますが、
 ご協力をお願いいたします。

 今こそ「三やの気迫」で

 ついこの間年が明けたばかりだと思っていましたが、あっという間に2月の声が聞こえてきました。「1月は往ぬる(いぬる) 2月は逃げる 3月は去る」という言葉のように、3学期の3分の1が過ぎてしまいました。まさに「光陰矢の如し」です。3年生は卒業まであと19日しか登校しません。1・2年生もあと31日です。残り少ない日々を大切にして過ごしてもらいたいと思います。

 3年生は既に受験の渦中にいます。初めての選ばれる経験に緊張が大きくなる人、思うように勉強が進まず焦る人、努力しても不安で仕方ない人など、心と身体の疲労も重なっているかもしれません。
 しかし、皆さんは今までの経験の中で多くのことを学び、着実に成長を遂げています。佐伯中学校の生徒信条である「三やの気迫」(やる気・やりぬく・やさしさ)を今こそ発揮するときです。自分を信じて漸進です。粘り強く、最後まであきらめずやり抜くことで、道は自ずと拓けます。
 1・2年生は日々の生活はどうでしょうか。前号で「来年度の0学期」について書きました。それぞれ学年が上がることを意識して生活できているでしょうか。時として「これって場にふさわしいかな?」というような言動が見られることがあります。自分と他人の視点を持ち行動することを意識していきましょう。4月には、新入生に「中学生とはこういうものだ」と姿で示せるよう、自分で考え、気づき、行動することを心がけてほしいと思います。

 最後に、アメリカ建国の父の一人とも言われるベンジャミン・フランクリンの言葉を紹介します。どのような意味なのか、家族で話し合ってみるのもいいですね。
 「今日という一日は明日という二日分の値打ちを持っている」

心新たに漸進を

 令和初のお正月を迎え、いつもの年明け以上に気持ちの改まった人も多いかと思いますが、皆さんは今年の目標を立てたでしょうか。このような「節目」といわれるものはいつも通りの日常を見直すよい機会になるものてす。

 3学期が始まり、早いもので既に10日が経ちました。3年生にとっては人生の節目となる入試が迫っており、また1・2年生にとっても次の学年への準備期間に入っています。つまり、今年度の締めくくりである「3学期」でもあり、来年度に向けた準備期間でもある「0学期」とも言えます。この短い3か月を生徒の皆さんはどんな気持ちで過ごせばよいと思いますか。
 タイトルに書いた「漸進」という言葉ですが。「ぜんしん」と読みます。「ぜんしん」と言うと「前進」を思い浮かべる人が多いかもしれません。「前進」の対義語は「後退」ですが、「漸進」の対義語は「急進」です。気持ちを新たにしたときには、やる気に満ちあふれていて前に進もうとするものです。それが悪いわけではありませんが、「3学期であり0学期」を充実したものにするためには、具体的な目標の実現に向けて計画を立て、少しずつ進んでいくことが大切だと思います。たくさんの成果が見えなくても、一見後退しているように感じても、あきらめることなく目標に向かって一歩ずつ進んでいきたいですね。 体調管理に気をつけて、お互いに磨き合っていきましょう。

 保護者の皆様、地域の皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。教職員一同、心新たに生徒の成長のためにしっかりと力を尽くして参ります。引き続き家庭や地域での支えをお願いいたします。

振り返り言葉にすることの大切さ 

 今日で2学期が終わります。まだ30℃以上の気温の中で始まった2学期ですが、季節も移り変わり今では吐く息も白くなりました。1年間の中で最も長い学期ですが、ただ長いだけでなく、様々な学習や活動を通して多くの生徒達の成長が見られました。

 文化祭をはじめ秋季備前東地区大会、生徒会役員選挙、2年生のチャレンジワーク、人権集会、アウトリーチや出前授業での音楽体験などの行事だけでなく、地域とつながる活動として、ひまわり園へのハンドケアマッサージ、小学校・にこにこ園への読み聞かせ、保育実習、地域をきれいにし隊、中学生だっぴ等も経験してきました。

 中でも文化祭については、これまで佐伯中学校が取組の核としてきた「地域とつながる活動」という新しい目的を加味したものに変革し、その中心となり進めたのが3年生の生徒たちでした。新しいものを生み出すことの難しさや見通しのもてない不安と戦いながら準備や練習に取り組むという経験を通して、挑戦することの楽しさや達成感、仲間を信じることの素晴らしさについて、生徒たちは身をもって感じたことと思います。

 社会の変化が大きく速くなっている現在、出会ったことのない課題に直面する機会が増えています。今後、この傾向はますます拍車がかかり、生徒たちが大人になる頃には、更に答えの見えない課題が増えているかもしれません。そんな社会で自分自身を輝かせて生きるために必要なものとは何でしょうか。周りの人とつながり、笑顔と元気を共有して前向きに取り組む姿勢は最大のものではないかと思うのです。

 生徒のみなさん。この2学期にはたくさんの笑顔と元気、頑張りがありました。そして、それをたくさんの人と共有していました。また、目の前のことを素直に受け止め、自分はどうすればいいかをよく考えていました。既に2学期の反省はしていますが、2学期最終日の今日、今一度自分を振り返り、成長したことやできなかったことを言葉にしてみてほしいです。そうすることにより、次の目指すものにつながっていくはずです。

 保護者・地域の皆様、今学期も変わらず本校の教育活動へのご支援・ご協力をありがとうございました。皆様の支えがあったので生徒たちは学校生活をのびのびと過ごすことができました。教職員が教育活動に専念できたのも皆様の支えがあってのことと感じております。家庭や地域で過ごすことの多いこの休業には、普段の生活ではできないことを子どもたちにしっかりと味わわせていただき、心の栄養を補給してよい形で3学期に臨ませていただけるとありがたいです。

 最後になりましたが、皆様、よいお年をお迎えください。