「視野を広げる」

 ここのところの寒暖差で紅葉が一気に進み、我が家の前の楷の木も、黄緑~オレンジ~赤の美しいグラデーションを見せてくれています。先日、写真に収めようといろんな角度から見てみると、当たり前ですが、木の形も色合いも様々に映り、木の下から空を仰ぐようにカメラを覗くと、どのあたりにスポットを当てるかで全く異なる木を見ているかのようでした。ふと、普段自分が見ている世界や考え方は偏ったものかもしれない、その固定化された枠をもっと広げる(視点を変えたり視野を広げたりする)意識をもたないといけないなと思いました。

 佐伯中学校では、重点目標の一つに「多様な人々との関わり、視野を広げる機会の創出」を掲げ、学習や行事を通して、園から少人数の同じメンバーで生活している生徒たちの世界が広がるように教育活動を工夫しています。特に10月11月は「咲笑希祭」をはじめ、校外に出て様々な人と触れ合う機会、外部から講師をお招きして出前授業をしていただく機会が多くありました。園小中合同奉仕活動、保育実習、オーストラリアとの遠隔交流授業、高校の出前授業、人権教育講演会・人権学習…(詳しくは裏面の記事をご覧ください)。その中で生徒たちは、新たな知識や考え方を得たり、自分の生き方を考え道標を見つけたりしたはずです。例えば人権教育講演会では、LGBTQや心理的安全性について正しい知識を得ただけでなく、後半のワークで普段あまり話さない人とも意見交流をする中で、多様な考え方に気づいたり考えが深まったりする体験をしていました。

 視野を広げることは、新たな考え方や価値観に触れ、自分の成長につながるだけでなく、人生をより豊かなものにしてくれると思っています。多様な他者を理解し、また自分自身を深く知ること=人間関係がうまくいくことにもつながりますし、選択肢が増え、自分の可能性が広がり、目標達成や課題解決がしやすくなるとも言われています。ちなみに、視野を広げるためには、次のようなことが有効だそうです。

 「新しいことに挑戦する」「様々な体験を積む」「多様な年代や価値観の人と交流する」

 「読書をする」「旅をする」「様々な情報に触れる(学習する)」「自分の固定観念に気づく」

私たち大人も、ちょっと意識できるといいですね。

 学校では引き続き、生徒たちが自分の可能性を広げながら、未来に向かって歩んでいけるよう、視野を広げる機会づくりに努めていきます。ご家庭や地域でも、子どもたちの「やってみよう=挑戦」を応援したり、ニュースや本、映画、テレビ番組などについて意見を交わしたり、行事で触れ合ったりすることなどを通して、視野を広げるサポートをしていただけると幸いです。

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