「やり抜く力」
- 詳細
- 参照数: 56
毎朝生徒会執行部のメンバーが全校生徒に向けてメッセージを書いているホワイトボードに、先日次のようなフレーズがありました。「今日はマラソン最終日です。自分の全力を出して、今までのベストタイムを目指しましょう。そして『やり切って良かった』と思えるような走りにしましょう!」ふと、「三やの気迫」が頭に浮かびました。「三やの気迫」とは本校の生徒信条で、何事にも自ら進んで前向きに取り組む「やる気」、ひたむきに諦めず努力し続けやり遂げようとする「やりぬく」、人権を尊重し、誰に対しても思いやりの気持ちをもつ「やさしさ」の三つのことです。その日の体育の授業を観に行くと、男子2.5㎞、女子1.5㎞のタイムレースが行われていました。そこには、持久走が得意な人もそうでない人も、前回の自分の記録を超えるべく最後まで精一杯走り切る姿があり、中にはゴール後に倒れ込むほど力を出し切った生徒もいました。そして、見学者や先にゴールした生徒からは「がんばれ」「まだ上げていけるよ」「ラストスパート」「ナイスラン」といった温かい声援が飛び交っていました。まさに「三やの気迫」に向かっていることを感じ、嬉しくなりました。
実は三つの中の「やり抜く力」については、最近人生の成功を左右する究極の力として世界的に注目されています。ペンシルベニア大学の心理学者アンジェラ・ダックワース氏の研究チームが様々な業界で成果を出している大人や子供を調査したところ、共通して見られたのがやり抜く力で、成功するには才能よりもやり抜く力(グリット)のほうが重要であることが科学的に証明されたそうです。ちなみにグリット(GRIT)とは、次の四つの頭文字で、生まれ持った才能とは関係なく身につけることができます。
Guts(ガッツ):困難なことに立ち向かう闘志
Resilience(レジリエンス):回復力。失敗してもあきらめずに続ける粘り強さ
Initiative(イニシアティブ):自ら目標を定めて取り組む主体性
Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる執念
みなさんの中に「どうせ自分にはできない」「負けそうな勝負はしたくない」「1回うまくいかなかったらもうやらない」といった弱気な自分はいませんか?逃げることは必ずしも悪ではありませんが、嫌なことからすぐ逃げてしまう「逃げ癖」がつくと、本来自分がもっている可能性を伸ばせなくなるかもしれません。
生徒のみなさんには、ぜひ自分の可能性を信じて挑戦・努力し、うまくいかないことがあっても諦めず、粘り強くやり抜くことを心がけてほしいと思います。そのためには、目標を自分で決めて、小さなことでも「できた」を積み重ねていけたらいいですね。また、私たち教職員や周りの大人は、「すぐに手伝わないこと」「結果ではなく過程ややがんばりを認め褒めること」「失敗から立ち上がる経験をさせること」など、やり抜く力を伸ばすために大切なことを意識してサポートしていけたらと思います。