「ウサギとカメ」
童話「ウサギとカメ」について、みなさん一度は聞いたことがあると思います。ウサギとカメが、どちらが早く山のふもとまでたどり着くか競争し、カメが勝つ話です。最初は足の速いウサギがどんどん先へ行き大きくリードしていたけれど、油断して居眠りをしている間にカメがウサギを追い抜き、そのままゴールしたという展開でした。この物語からは「油断や慢心は禁物」「こつこつ努力することが大切」ということが学べるとよく言われます。
ただこの話には、もう少し深い意味が隠されています。ウサギとカメは「見ていたモノ」が違ったのです。ウサギはカメに勝つことだけを目標に、カメの動向ばかりを気にしていました。カメと自分を比較して、自分の足の速さと立ち位置から勝利を確信し、それが油断につながってしまいました。一方カメは、ウサギに惑わされることなく、ひたすらゴールを見続け、ゴールまでの道のりのどこにいるのかを考えて歩みを進めたのです。
人はつい自分と他人を比較して、優越感や劣等感を抱きがちです。比べることは悪いことばかりではありませんが、他人との比較にこだわりすぎると、目標を達成できなかったり成長が阻まれたりします。自分の目標や目的を見失わず、最善を尽くすことが大切ですね。
そして「ウサギとカメ」にはさらに続きがあるとか…カメに負けて悔しい思いをしたウサギは、カメにリターンマッチを申し込みました。ウサギは今度こそはと油断することなくゴールまで一気に駆け抜け大勝利、カメはずいぶん遅れてゴールしました。ところが、負けたカメは大喜びしていたのです。不思議に思ったウサギがカメに訳を尋ねると、「1回目より早くゴールに着けたから!」と。 カメはあくまでウサギではなく目標を見て自分自身と勝負していたのですね。
ふと学校保健委員会の講演で稲田先生が「事実や状況自体に意味はない。それを自分がどう捉え、どんな意味をつけるかだ」と言われていたのを思い出しました。ちょうど今、学校は一年間の折り返し地点を迎え、生徒会役員選挙や中間テスト、初めて小中合同で行う「咲笑希祭」等の行事が目の前に迫ってきています。一人一人が何を目標に取り組み、そこからどんな意味を見出し、次にどうつなげるか、生徒のみなさんにもしっかり考えてほしいですし、私たち教職員もこのことを頭に置いて子どもたちと接していきたいと思います。保護者の皆様や地域の皆様にも、周りや兄弟姉妹と比べるのではなく、一人一人の良さや伸びに目を向け、成長につながる関わりをしていただければ幸いです。
最後になりましたが、地域の皆様、各事業所の皆様には、ふるさと夏祭りやチャレンジワーク等、貴重な学びの機会を提供していただき、本当にありがとうございました。10月12日(土)にサエスタで行われる咲笑希祭では、感謝の意も込めて「地域とつながる活動」や「全校合唱」「全体合唱」に取り組みます。生徒の頑張る姿を是非ご覧ください。