私を変えた言葉
生徒のみなさんや保護者の皆様には、好きな本があるでしょうか。現代は情報が溢れていて、インターネットやSNSから多くのことを知ることができるので、時間をかけて本を読む機会が減っているかもしれません。
私には、中学校1年生の頃に読んで魅力にとりつかれた本があります。カナダの女流作家ルーシー・モード・モンゴメリ作の「赤毛のアン」です。この赤毛のアンはシリーズで全7巻ありますが、1か月も経たないうちに全巻読破したことを今でも覚えています。たくさんの美しい自然描写や、想像力豊かなアン(思い込みも激しく、すぐに怒ったり泣いたりもします)に引きつけられたからです。その「赤毛のアン」の中の言葉で、当時とても心に響いた言葉がありました。
ある日アンが失敗をしてしまった後に、育ての親であるマリラから「あんたみたいに間違いばかりする人は見たことがないよ。」と言われたアンが返した言葉が「それはよくわかっているけれど、一つ私にいいことがあるのが分かりませんか、マリラ。同じ間違いを二度と繰り返さないことよ。」でした。その頃の私は比較的まじめな生徒で、「失敗はしない方がいい」と思っていました。しかし、このアンの言葉に出会って、「そうか。人間だから失敗するのは当たり前なんだ。同じ失敗を何度も繰り返すのは成長していない証拠だけど、その失敗を繰り返さないように自分で変えていけばいいんだ。」と思うことができ、とても心が軽くなりました。
大人になって随分経ちますが、今でもまだまだ失敗をします。時には同じ失敗をすることもあります。失敗すると恥ずかしい思いをしますが、だからこそ、次はうまくやるぞと思えて、違うやり方を考えたり身につけたりできます。何歳になっても成長の余地があるのです。
生徒のみなさん、挑戦しなければ失敗もしません。失敗することは怖いかもしれませんが、失敗から学べることがたくさんあることを知ってください。失敗という経験を通して、ますます成長してほしいと願っています。